ISOコンサルタント:トップ > JIS Q 9100取得支援 > JIS Q 9100とは
航空宇宙産業において、機能・性能及び安全性の確保は、非常に重要な課題となっています。従来、航空機の品質管理は、MIL spec(MIL規格:米国国防総省標準仕様書)が重用され、MIL Q 9858Aが適用されていました。しかし、このMIL Q 9858Aは、国際規格ISO9001シリーズの普及とともに、ISO9001 がMIL Q 9858Aと同等の要求事項として採用され同時に廃止されます。しかし、このISO9001は航空宇宙産業に適用した場合、機能・性能、安全性確保等に関する業界特有の要求事項が不十分であり、ISO 9001に航空宇宙産業特有の要求事項(機能・性能および安全性の確保など)を追加した航空宇宙産業の品質マネジメントシステムの国際標準の規格としてAS 9100が誕生しました。JIS Q 9100は、IAQG(International Aerospace Quality Group)が作成したIAQG 9100原案の内容を変更することなく制定された日本工業規格(法律の改正により日本産業規格に読替え)です。故に、JIS Q 9100は、同じくIAQG原案に基づき制定されたAS 9100(米国)及びEN 9100(欧州)と同等の規格になります。 IAQG 9100原案は、ISO 9001要求事項をそのまま採用するとともに、これにIAQG戦略に基づく航空宇宙防衛(ASD)産業特有の要求事項を追加して作成されています。 IAQG 9100原案は、ISO 9001をベースライン(骨格)としているため、ISO 9001が改訂されれば、IAQG 9100原案も同時に改訂されます。JIS Q 9100:2016の認証支援、コンサルティングは是非、スリープロサポートへお任せください。
従来、航空宇宙産業では、米国国防総省の米軍仕様書(Mil spec)が重用され、品質システムにはMIL Q 9858Aが適用されていました。
しかし、MIL spec体系の一様な適用は、品質過剰をもたらす傾向があって不経済な側面があったうえ、民間における技術が著しく進歩したために、国防総省ではMIL spec 体系を見直し、多くのMIL specが廃止され、品質システム仕様書であるMIL Q 9858Aも廃止されました。
一方、ISOから、一般産業に共通して適用できる一連の品質システム規格(ISO 9001シリーズ)が発行され、多くの産業分野にわたって浸透し、適用されました。
世界の航空宇宙産業でも、MIL Q 9858Aが廃止された代替としてISO 9001の採用が広がりました。しかし、この一連の品質システム規格は、MIL specを起源としているものの、航空宇宙産業に適用した場合は、機能・性能、安全性確保などに関する業界特有の要求事項が不十分であり、業界のプライムメーカーごとに様々な追加要求事項が受注業者側に示され、航空宇宙サプライチェーンの中で混乱の様相が見られ始めました。
この状況を憂慮した欧米の業界は、それぞれの地域において、共通の追加要求事項を盛り込んだ規格を作成し、それぞれprEN9000-1(欧州)及びAS 9000(米国)を1997年に発行しました。
欧米の業界は、さらにこれらの規格を統一した国際航空宇宙品質システム規格の作成をISO/TC20総会(1997年東京)に提案しました。ISO/TC20は、WG11を編成し、当該原案の作成に着手しました。
しかし、早急に規格化するという業界のニーズには、ISOの制度上、困難な状況にありました。
ちょうどその頃、航空宇宙産業の国際化に伴い、世界の航空機メーカ及び航空エンジンメーカが参加したIAQG(国際航空宇宙品質グループ:International Aerospace Quality Group)が1998年に設立され、ISO/TC20/WG11の業務を引き継いで、国際航空宇宙品質システム規格の原案を作成することになりました。
そして、ISO 9001-1:1994をベースとしたIAQG 9100(当時はIAQS 9100):1999原案が作成されました。この原案に基づき、世界の地域ごとに正式な規格〔prEN 9100(欧州)、AS 9100(米国)及びSJAC 9100(日本)〕として発行されました。我が国の産業界(JAQG:Japan Aerospace Quality Group)では、この規格の普及を期待し、SJAC 9100のJIS化を国に申請し、日本工業標準調査会の審議を経て、JIS Q 9100として、2000年8月20日に制定されました。
その後、何度かのISO 9001の改訂に合わせた9100の改訂が行われ、現在は、JIS Q 9100:2016が最新版となっております。〔JIS Q 9100:2016 解説1及び2から引用〕
※ IAQGは、国際航空宇宙品質システム規格であるIAQS9100を、世界共通のただ一つの規格文書として発行する事はせず、内容及び規格番号の一致した各地域規格の形態をとる事にした為、欧州ではprEN9100、米国ではAS 9100、日本ではJIS Q 9100として制定しました。故に、この3つの規格は同等であり、国際相互認証を行っているため、いずれの規格の認証を取得しても世界で同等の品質管理水準となります。
※ SAE(Society of Automotive Engineers)
モビリティ専門家を会員とする米国の非営利的団体。2006年現在、約9万人の会員を有し、自動車関連及び航空宇宙関連の標準規格の開発等をおこなっている。正式名称はSociety of Automotive Engineers, Inc. 。
※ AECMA
現在のASD-STANSTAN(Aerospace and Defence Standardization Organization:航空宇宙及び防衛標準化組織)
※ IAQG( International
Aerospace Quality Group:国際航空宇宙品質グループ)
生産活動を通じて、品質の著しい改善及びコスト削減を達成するという目的で設立された、アメリカ、アジア・パシフィック及びヨーロッパの企業の代表者で構成されるグループ。
JIS Q 9100は航空宇宙部品を製造していなくても認証できます。ISO9001をレベルアップした品質マネジメントシステムとお考え下さい。なお、航空宇宙産業の「卸売業者」や「商社」を対象としている規格はAS9120となります。
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